フィリピンの七不思議
1.ミリエンダ
フィリピンには、ミリエンダという「おやつタイム」が午前中10:30頃と午後15:00頃にある。
ほとんどの人が『ビンカッ(お持ちとおはぎの餡を取ったような感じの間のもの)』とか、スナックとか、いろいろ甘いものとか、好きなもの食べるのだが、中にはスパゲッティを食べだしたり、ご飯を食べる人もいる。
女の子は、グリーンマンゴーを結構好んで食べる人が多かったようで、さらになんとこのグリーンマンゴーを酢醤油で召し上がるから、異文化理解だ。
グリーンマンゴーに、ギナモスという、塩から見たいのを乗っけて食べてたやつもいたっけかな。
彼らは、ミリエンダ(おやつ)と言い張っているが、俺にはどう見ても普通の食事にしかみえない。
ミリエンダにご飯を食べている人は、一日5食になってしまう。スナックを食べる人でも、いろいろと種類を食べたり、量を食べたりするから、結構な量なんだ。
フィリピンには、結構太っている人がいるが、それは多分ミリエンダのせいだろう。
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チーズケーキ、特大、一人前。おいしそうでしょ?
ミリエンダは、フィリピン人の憩いのひと時。普段から憩っているから、しかも一日2回もミリエンダをしなくても、十分四六時中憩っているから、必要ないだろっなんていってはいけない。
それがフィリピン人なのだ。
フィリピン在住中、俺は『日本人はミリエンダを食べない』と言いきっていたので、誘われなくなってしまった。でもそんな風に言った時、フィリピン人はなんかちょっと寂しげだった。
フィリピン人は、お米を食べなきゃ食事をした気分になれない、とよく言う。
たしかに朝、昼、晩と必ずご飯を食べるフィリピン人が多い。
ただ、腹持ちの良いお米を1日3回も食べておきながら間食のミリエンダを2~3回もとるのにはちょっとあきれてしまうが……。
ファストフードは多くのフィリピン人にとって、スナックを食べるところではなく家庭での食事の代わりという側面がある。
だから安くて、ライスがメニユーにないといけない。フィリピン人はスパゲッテイーやピザはスナックであってミール(食事)のうちに入らない、という。
フィリピン人は、それはもう空腹を極度に恐れているかのように、こうして朝・昼・晩の食事+ミリエンダ×2 を食べるのに、すっごい不思議に感じていたんだけれども。
これには、フィリピンの複雑な歴史が関係しているようなんだ。
フィリピンは、その国名の由来どおり、最初スペインの植民地として、支配されていた。
スペインの植民地支配の方法は、英国の植民地の支配方法とはちょっと異なる。
同じ植民地を支配するのにも、いろいろと方法があり。
英国は、完全にその現地人をも『物』として扱い、現地人とは一定の距離を置き取引をしていたのに対して。
スペインは『amalgamation(混血化)』を進めた。 これは一見現地人と交わり、その土地に溶け込む形となっていい感じのように見えるんだけれども。
事実は、スペインの『性の征服』をも含めた戦略だったんだ。
結局のところ、ごくごくわずかのスペイン人がフィリピンを支配し。
現地人を奴隷のように扱い、こき使って、私服を肥やしまくったのだ。
ただこの場合、フィリピンという国を維持するため、現地人を決して『奴隷』とは呼ばない。
とっても安い、低賃金で、現地人を『労働者』と称して、こき使っていたのだ。
しかしながらそんな感じで、こき使われ続けているほど、フィリピン人はお人よしではなかった。
たびたび、フィリピンを統治する歴代の総統なんかは、結構暗殺されたり。
叛乱にあって殺されたりしていた。
人間、もうとことん追い詰められると、叛乱を起こす。
これは歴史が教えてくれているんだけれども。
これを抑える戦略も、スペイン人は考えていたのだ。
人間の三大欲求のひとつである『食欲』。
それを常に満たしてしまう事により。
ついさっきまで、『今日こそは、絶対叛乱起こしてやろう!』とむらむら考えていた連中も。
おなかが膨れる事によって。
『あぁ、おなかいっぱい、幸せ~♪、叛乱はまた今度にしとこうかな♪』
となってしまうのだ。
それが、ミリエンダの由来。うそのようで本当のお話。
フィリピン人が、いつも食欲に満ちていて、日に5度も食事をするという起源も辿ると。
こうした、隠された歴史的事実の元にあるのだ。
悲しきかな、フィリピン人。
そうして、今日もまた、フィリピン人はミリエンダを食べている事だろう。
食べすぎにはご注意を。
2.バクラ
フィリピンの七不思議のひとつに。
非常に多いんだなこれがまた。
オカマが。
ゲイの事をビサヤ語でバヨット、タガログ語でバクラと言う。
俺が住んでいた町、カガヤンデオロは結構なでかい町で、デパートなんかがあったりしちゃう。
ある日の週末、デパートに行った時の事。
物を探してうろうろしてたら、やけにごっついおばちゃんの店員さんが、俺の方をジーっと見ていた。
それは、もうおっかないくらいごっついおばちゃんだった。
「うわあ、俺、なんか万引き小僧と思われているのかなあ。めっちゃ見てるよう。」
と思いそそくさと、買い物をして出ていったんだけど。
後から聞いた話だと、あれは男だったそうです。
どうりでごっついはず。
俺のほうをじっと見てたのは、見張っていたわけではなく、俺が男だから見ていたんだそうな(汗)
俺も体格は大きい方ですが、僕が目撃した物は、僕の身長をはるかに上回っていた。
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あまりいけてないと思われるバクラ。写真を見てわかるように、胸があります(驚)フィリピンはタイについで、性転換手術の盛んな国でもあります。
床屋の男の店員さんなんかほとんどゲイ。なんか妙にクネクネしてるんだ。
ちょっと伏目がちでぱちくりした瞳が印象的だ(笑)
男でイヤリングをしているのは、たいていゲイだそうな。
けっこうカレッジとか、高校生の中にもいるそうです。
どこの職場でも、必ず一人や二人は存在するのがフィリピンなんだ。
まぁ、俺の職場だったところは、幸か不幸か、一見で、野郎だとわかる類しかいなかったな、まぁジャングル地帯でゲイは生きてはいけないという事なのか。
中には、完全に女装に成功している例もあるので、一見きれいな女性としか思われないゲイも沢山いる。
フィリピンのゲイは、アメリカのようにに、俺はゲイだぜ、なんて威張って自己主張はしないけど、人からどう見られようと確固たる信念は持っているみたいだ。
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結構きれいなほうと思われるバクラ。学生さんのようです、ジープニーの車内にて、隠し撮り(笑)
しかしなんでフィリピンにはこんなにも多いのか?
完全に生物の原点を無視している多さだ。
環境ホルモンの影響なのか?
フィリピン人は、生まれた後、母乳を飲まずに、すぐ代用乳で育てられるそうだ。
コーラとかそういった飲み物も大好き。
フィリピンにオカマが多いのは、そういった環境ホルモンとかの影響で、脳内の生育がうまくいかないせいなのではないのかなあっとも考えていたんだけれども、そしたら日本なんかもっと多いよな。
ゲイのの要素が後天的に目覚めるか?どうかは環境にもよるらしい。
日本みたいに、 ”男子たるもの・・” みたいなお国柄ではゲイの才能は開花しにくいのではないのだろうか?
その点、フィリピンは”ゲイにはゲイの才能がある” というような、ゲイをみんなが認めている。
(小学校の先生、美容師はゲイの天職だといいます)
日本人のゲイも、住みやすいフィリピンに住みつくとか・・ いう噂も聞いたことがある。
ゲイ(バクラ)にとって住みやすい国でもあるんだろう。
ほかにも、たとえば政変で国がふらついていたときに生まれた子供はバクラになりやすいとか、フィリピンでは男よりも女の方が生きやすいのでバクラに逃げてしまう傾向があるとか、いろんな説があるんだけれども。
本当のところはわからない。
オカマだけではなく、オナベ(トンボイ)もけっこう多い。
普通の純粋なアジア人ならば、男女の見分けは簡単につくんだけれども。
フィリピンは、いろんな人種が混血しているので、なかなか難しい。
だからきれいな人も多いんだけれどね。
ただ、おっかないおばちゃんだと思ってた人がオカマだったり、ちょっとハンサム形の男かと思ったら、オナベだったりと難しい。
でも、オカマや、オナベの人でも、一応結婚適齢期になると、結婚するらしい。
??よくわからん。
俺の、分析によると一家族に一人は必ず、オカマかオナベさんがいるようだ。
これは、日本で言ったら考えられないくらいの高い数値だ。
家族も全然気にしてないご様子。
つまり、オカマやオナベに市民権があるんだ。
フィリピンの近隣のタイなんかも、ゲイが非常に多い。
しかも、フィリピン以上に、オカマちゃんが本当の女性よりも奇麗だからびっくりだよ。
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タイにはニューハーフのディナーショーみたいなのがあります(笑)
この写真の方は男だった方です。誰が見ても女の人にしか見えません。
フィリピンには、なんと同性愛者の老人ホームまで存在するのだ。
パサイ市のFBハリソン通りを一本入った路地に、「ゴールデンゲイの家」と書かれた一軒家がある。同性愛愛好者の老人ホームで、四十九歳から六十七歳までの男性七人と女性三人が身を寄せている。
「私たちは『かごの外の鳥』。ここでは、だれに気を使うことなく自由でいられる」
フィリピンで初めてといわれる老人ホームだけに、多いときにはテレビ局の取材チームや課外授業で大学生が週三回も訪れるという。
太平洋戦争時代に日本軍の性的奴隷にされたと名乗り出て話題になったウォルター・マルコーバさん(76)もここの住人。彼の人生を描いた映画「マルコーバ・・コンフォートゲイ(従軍慰安夫)」は、昨年末に公開されたばかりだ。
「みんな心に傷を負っているから、お互いの境遇を分かり合えるんだ。ここではどんなことでも遠慮なく口にできる」とマルコーバさん。「この家ではみんな家族。恋人は外にいる」と言う。
素っぴんの女性。そして、まゆを細く整え薄くファンデーションを塗った男性。不思議な共存だ。
一九九〇年、自宅近くの下宿屋に三人の同性愛愛好男性が暮らしているのを、パサイ市のフスト・フスト市議が知った。同性愛愛愛好者の社会的権利を認知するよう訴えていた同市議が三人の面倒を見始めた。それがきっかけで入居希望者が増え、九八年から五階建ての同市議宅の一部が老人ホームになった。
寝室は歩いて二分のところにある同市議の別宅にあり、男性の部屋には二段になったダブルベッドが二つあり、一つのベッドに二人ずつ眠る。
入居代は無料。食事代や医療費、交通費もすべて同議員が負担しているという。入居条件は五十歳以上で、同市議が「面接」して入居を決める。
「人生を楽しむ秘けつは若い恋人を持つこと」と自負するマルコーバさんには十代と二十代の恋人が三人いるそうで、日替わりのデートを楽しんでいる。
以上、フィリピンの新聞記事より抜粋
「死ぬまでここで楽しく暮らしたい」。家族や社会とのしがらみから解放された彼らの共通の思いだそうな。
そんな、ゲイの国フィリピン。
男をやめたくなった、男性諸君、女をやめたくなった女性の方、フィリピンへ行こう。
3.ドン
フィリピンの社会構造
<ドンの考察>
皆さんはフィリピンの社会構造を把握しておられるであろうか?
そこには、非常に複雑且つ怪奇であり、しかしながら自然の摂理にかなったものが備わっている。
今回は、そんなフィリピンの社会構造の中でも最も重要且つ、そして需要が多く、しかしながらそのステイタスは可哀想な
『ドン』について考察してみる事にする。
『ドン』と聞くと、日本語では
『首領』をイメージし、何か非常に身分の高い人を連想しがちであるが、フィリピンではそうではない。
逆に、最も身分の低い方々の総称でもあるのだ。
まずこれを説明するにあたって、若干のフィリピーノ語を理解しておかねばならない。
フィリピーノ語〈ビサヤ語〉に見られる階級
上から身分が低い順番となっております
ドン 自分より年下、もしくは下っ端の男の呼称。日本語に訳すと、『小僧!』だろうか?
ダイ 自分より年下、もしくは下っ端の女の呼称。日本語に訳すと『小娘!』かな?
ノン 自分より目上、もしくはおじいちゃん方の呼称。日本訳では『じっちゃん!』もしくは『おっちゃん!』
ナン 自分より目上、もしくはおばあちゃん方の呼称。日本訳は『おばちゃん!』または『ばあちゃん!』
ボス そのままボスの意。もしくは『親方!』とも訳せる。または意訳で『社長!』ともなるかも。
マム 自分よりステータスの高いレディーの呼称。『先生』という意味合いもある。日本訳ではおそらく『奥様』とか。
セル ボスよりもステータスは高く、マムの男性版の呼称。『Sir』の意。日本訳ではおそらく『旦那様』、もしくは『ご主人様』。
ドク 一般ではあまり聞く事はできない、最もステータスの高いと思われる呼称。Drの略語。
下図は、その
『ドン』から
『ドク』までの社会構造ピラミッドで表したものである。
ピラミッドの頂点に位置する
『ドク』は、生態的ピラミッドで言うならばその頂点に君臨する『万物の霊長』であろう。
『ドン』はいわば『プランクトン』である。その需要と人口比率などもばっちり下図のピラミッドに当てはめる事ができる。
フィリピンの社会構造の特色として、専門家に言わせるならば『ジェンダー』が成功している国らしい。
つまり女性の社会進出が非常に大きく社会に貢献しており、社会的地位が高い。これはピラミッドの中でも見られるように、
『ドン』より
『ダイ』の方が少し上であり、
『ノン』よりも
『ナン』の方がちょっぴり偉いと言う形で認められる。
【フィリピンの社会構造ピラミッド】
―生態ピラミッドとの比較―
ピラミッド上方より順番に。
ドク
セル
マム
ボス
ナン
ノン
ダイ
ドン
生物界の生態系ピラミッドでは、『プランクトン』は一生プランクトンであり、決して『プランクトン』が出世して捕食者になる事はないが、フィリピンの生態ピラミッドでは
『ドン』が出世する事ができるのがせめてもの救いである。
しかしながら全ての
『ドン』が
『ボス』や
『セル』、はては
『ドク』までなれるかと言うとそんな事はない。フィリピンにおける出世の世界は非常に厳しく、過半数の
『ドン』はがんばっても
『ボス』どまりである。
『ノン』は
『ドン』が年を取れば普通なれるので除外して考えている。しかしながら
セル→ボス、や
ドク→ボスなどの降格するパターンがこの国には存在しない。
『セル』は一生
『セル』であり、
『ドク』は
『ドク』なのだ。
ちなみに私は獣医師という職業柄この国では最高峰の称号
『ドク』で呼ばれていた。
『ボス』以上の位の方に
『ドク』と呼ばれると非常に気持ちが良いのだが、
『ドン』に
『ドク』と呼ばれてもいまいちすっきりしないのは何故だろうか?気のせいであるが
『毒!』と日本語で呼ばれているような気がしてならない。
まあそんな事はどうでもよいのだが、とにかく私はこの国ではかなり偉い。
偉いかどうかはよくわからないがとにかくそういうはずである。
というよリ、そうなりたいよぅっと言う自分自身の願望も込められているのかもしれない。
ドンの出世状況
「ドン」から「セル」以上になる確率はおそらく0.1%くらいかもしれない。〈筆者推定)
1.『ドン』→『ボス』例〉:ジープニーの運転手。ドン=お金集め、もしくは荷物持ち ⇒ ボス=運転手。
2.『ドン』→『セル』例〉:人工授精師。ドン=農家の小僧 ⇒ セル=人工授精師。
3.『ドン』→『ノン』例〉:単なるお年寄り。ドン=農家の小僧 ⇒ ノン=農家のじいちゃん。
さて
『ドン』の生態であるが、これが実に働き者である。
まあ上のものに逆らう事は許されず、命令が下れば従わなければならない。
食事も上の者が食べた後で取らなければならない。まるで相撲部屋の新人力士のようである。
写真2:今では年功序列のため『ノン』まで出世した昔の『ドン』
『ドン』の頃ヤンキーであった事が想像される。
ドンの生態学的特徴
1. 目上から名前で呼ばれる事はない。必ず「ドン!」と呼ばれる。もしくは「PSU!」。
2. 普段着は、サンダル、タンパン、Tシャツ。Tシャツもタンクトップもしくは袖無しTが多い。
3. 通常上半身は裸、もしくはTシャツを上腹部までめくりあげ、腹を出している。
4. 必ず荷物持ちである。マムの後ろに付き、荷物を持っているのをよく見かける。
5. ローカルな言葉しか話せない。英語を話した時点で「ボス」まで出世である。
6. お小遣いで10ペソもらうと大喜び。20ペソあげると大変である。
7. 通常の乗り物は自転車トライシクル。出世するとバイクのトライシクル。ジープニーは『ボス』の乗り物。
8. ジープニーで混雑してくると車内に座れない。車外〈屋根、もしくは後部〉に虫のようにへばり付く。
9. ドンの一般的な娯楽は、チェス、ビリヤード、闘鶏などと幅が広いがあまりステータスは高くない。
10. ニワトリを飼う事が一種のステータスとなっている。
『ドン』もしくは
『ドン』がそのまま
『ボス』になったケースでは、普段腹を出している事が非常に多い。これも
『ドン』の特徴であるかもしれない。
下の写真は、ミンダナオの某タウンでのものであるが、やはりさりげなく腹を出していた。彼は年齢的には
『ドン』である。
人間的にも非常に良い方なのであるが、悲しいかな、どこでも腹を出してしまうのはフィリピン人の性なのかもしれない。
腹を出してぷらぷらあるいている青年